病院情報の公表

令和4年度 山形県立新庄病院 病院指標

医療法における病院等の広告規制について（厚生労働省）

1. 年齢階級別退院患者数
2. 診断群分類別患者数等（診療科別患者数上位５位まで）
3. 初発の５大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
5. 脳梗塞の患者数等
6. 診療科別主要手術別患者数等（診療科別患者数上位５位まで）
7. その他（ＤＩＣ、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率）

本調査の対象となる令和３年度の退院患者数は５，５５６名です。年齢階級別にみると７０歳代の患者さんが一番多くの割合を占め、次いで８０歳代、６０歳代となります。平均年齢は６４．９歳であり、全体の７３．５％を６０歳以上の患者さんで占めております。分娩および小児科入院にも対応しているため、幅広い年齢の患者さんに来院いただいております。

消化器内科

消化器内科では、１番目・２番目の「総胆管結石性胆管炎」「総胆管結石」「胆管炎」「閉塞性黄疸」の入院が最も多くなっており、上位５疾患の約半数を占めます。主に抗生剤による治療を行っておりますが、結石が原因となる場合は内視鏡的治療が必要となる場合があります。３番目に「胃がん」の治療が多く、早期の胃がんに対し内視鏡による粘膜切除術を行っております。４番目は「胆石性急性胆のう炎」「胆のう炎」に対し抗生剤による治療、５番目は「誤嚥性肺炎」の入院が多くなっております。

循環器内科

循環器内科では、「狭心症」に対する心臓カテーテル検査やカテーテルを用いた血管内治療を多く行っております。次いで「心不全」に対する点滴薬を使った治療や心臓の血流検査（SPECT）が多く、「不整脈」に対してはペースメーカー植込みやペースメーカーの電池交換を行ております。
　当院で急性期的な治療を行い、その後近隣の医療機関へ転院しリハビリを行うなど、近隣の医療機関との連携を図っております。

整形外科

整形外科では、股関節・大腿近位部骨折の件数が最も多く、高齢者の中で特に多い骨折です。次いで変形性膝関節症が多く、股関節・大腿近位部の骨折と合わせると、整形外科入院の約4割を占めています。その他の骨折等、幅広い疾患に対応しており、いずれもクリニカルパス（入院患者さんの治療等をスケジュール形式に表したもの）を使用し、標準的な医療を提供しています。

外科

外科では、「鼠径ヘルニア」に対する手術を多く行っております。２番目の「肺の悪性腫瘍（肺がん）」では胸腔鏡を用いた肺の切除術、３番目の「虫垂炎（盲腸）」では抗生剤による治療、「結腸の悪性腫瘍（大腸がん）」では開腹または腹腔鏡下による結腸切除術等の手術、４番目の「乳がん」では乳房部分切除術の入院が多くなっております。いずれの疾患についても、状況に応じ緊急手術にも対応しております。

耳鼻咽喉科

耳鼻咽喉科では、睡眠時無呼吸が最も多く、次いで内耳性めまい・メニエール病等の前庭機能障害と続き、扁桃周囲膿瘍、突発性難聴、慢性副鼻腔炎が上位を占めております。いずれの疾患もクリニカルパス（入院患者さんの治療等をスケジュール形式に表したもの）を作成し、標準的な治療を行っております。

呼吸器内科

呼吸器内科では、食事時の誤嚥（飲食物や唾液、逆流した胃液が気管に入ってしまうこと）によって生じる「誤嚥性肺炎」の入院が最も多く、３番目に多い「間質性肺炎」を含め様々な肺炎治療を行っております。上位５疾患のうち、２番目・４番目・５番目を占めるのが「肺がん」の入院となっております。肺がんの治療では、化学療法の入院が多く、繰り返し行う場合が多いため延べ患者数が多くなる傾向になっております。

小児科

当院は分娩取扱施設であるため、小児科では低出生体重、一過性多呼吸、新生児嘔吐などの新生児に対する治療を多く行っております。出生後の新生児への迅速な処置も可能であり、新生児仮死蘇生術も行っております。他に、ウイルス性腸炎や気管支炎、喘息など多くの疾患に対応しております。

泌尿器科

泌尿器科では、膀胱腫瘍に対する内視鏡手術、次いで腎結石・尿管結石に対する結石除去手術目的での入院が多くなっています。尿路感染症（腎盂腎炎・膀胱炎）等の疾患は、基本的に抗菌薬での治療となります。閉塞性の場合、ステントを留置するケースもあります。地域包括ケア病棟には、前立腺の悪性腫瘍が疑われる多くの患者さんが前立腺針生検法を受けるため入院されています。また、クリニカルパス（入院患者さんの治療等をスケジュール形式に表したもの）も多く運用されており、幅広い疾患に対応しています。

産婦人科

産婦人科では、「子宮頸がん」および「子宮体がん」、「卵巣がん」に対する抗がん剤治療や「子宮筋腫」に対する子宮全摘術や子宮筋腫摘出術などの幅広い治療を行っております。
産科では、「妊娠高血圧症候群」に対する治療が多くなっております。他にも悪阻などの妊娠初期から分娩、産後ケアに対する治療などを行っております。

脳神経外科

脳神経外科では、脳出血・脳梗塞・外傷性慢性硬膜下血腫に対する診療を多く行っております。脳梗塞の場合、状態に応じた超急性期治療として、t-PA製剤という血栓を溶かす薬剤の投与や、血栓回収術等を行っております。外傷性硬膜下血腫に対しては、慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術にて血腫の除去や洗浄を行います。地域の中核病院として、幅広い疾患を診療しております。
※患者数が10未満の症例は「‐」と表示しています。

形成外科

形成外科では、「慢性腎不全」に対し人工透析を行うための内シャント造設術の入院が最も多くなっております。院内からの依頼が多く、各診療科と連携し治療を行っております。２番目に「皮下腫瘍」や「軟部腫瘍」に対し皮膚・皮下腫瘍摘出術や四肢・躯幹軟部腫瘍摘出術を行っております。３番目に手首の手根管と呼ばれるトンネルで正中神経が圧迫され、指のしびれや痛み、親指の運動障害が生じる「手根管症候群」に対する手術を行っております。手術は１泊２日の入院で行うことが可能です。他に「皮膚の悪性腫瘍」や細菌感染することで皮膚の下が化膿する「膿皮症」など幅広い疾患に対応しております。

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血液内科

血液内科では、非ホジキンリンパ腫、骨髄異形成症候群などの精査・加療を行っております。造血器腫瘍の治療としては主に化学療法を行っており、状態に応じて放射線治療も当院で可能です。他には肺炎の治療など内科として幅広い疾患に対応しております。

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※ 1：UICC TNM分類，2：癌取扱い規約

5大がんとは、発症症例数が多い、胃がん、大腸がん、肺がん、肝臓がん、乳がんを指します。UICC（国際対がん連合）が定めた腫瘍の病期分類があり、T（原発腫瘍の拡がり）、N（所属リンパ節転移の有無と拡がり）、M（遠隔転移の有無）を評価してがんの進行度と拡がりの程度を、表せるようにつくられたのがStage分類（Ⅰ～Ⅳ期）です。患者数は初発・再発いずれも肺癌が最も多く、次いで大腸癌、胃癌となっております。各学会の定めるガイドラインにより、専門医が標準的ながん治療 (手術、化学療法、放射線療法）、緩和医療および各種治療法を合わせた集学的治療を行っております。

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【定義】

・市中肺炎とは、普段の生活を送っている中で罹患した肺炎を指します。
・20歳以上の成人を集計対象としています。
・重症度は「市中肺炎ガイドライン」により分類しており、下記の5つの項目に該当する点数で分類しております。
※5点満点で1項目該当すれば1点、2項目該当すれば2点で集計しています。

1. 男性70歳以上、女性75歳以上
2. BUN（血液検査項目　尿素窒素）が21mg/dl以上または脱水あり
3. 酸素飽和度が90%以下
4. 意識障害（肺炎に由来するもの）あり
5. 血圧（収縮期）が90mmHg以下

項目表中に該当点数に応じて重症度が分類されています。
軽度：0点
中等症：1～2点
重症：3点　ただし意識障害(ショック)であれば1点でも「重症」の分類とする。
超重症：4～5点

【解説】

肺炎は罹患率が高く、悪性新生物（癌）、心疾患とともに国民の死亡原因上位に位置する疾患です。高齢者では症状がはっきりしない場合もあり、早期の適正な抗菌薬が必要となります。重症度別では中等症が最も多く、全体の7割以上を占めています。高齢になるにつれて重症化する傾向にあり、平均在院日数も比例して長くなります。
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脳血管疾患は死亡原因の上位に位置する疾患であり、脳梗塞の場合早期治療を行うことが効果的とされております。当院では脳梗塞の約9割以上の患者さんが発症してから3日以内に治療を開始しております。迅速に治療（t-PAを含む）を開始することで、早期にリハビリ等の治療を行うことができ、その後の患者さんの日常生活動作向上へ大きくつながります。

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整形外科

整形外科で最も多い手術は、骨折観血的手術になります。大腿・前腕の順に手術が多く行われています。骨折観血的手術は受傷部位を手術的に開き、直視下に整復し、材料（ワイヤー、スクリュー、プレート等）を用いて内固定を行う手術です。人工関節置換術（膝）等は関節の動きが悪く、運動痛が強い、不安定で支持性が低い症状がある場合に、大腿骨と脛骨の両方を入れ替える手術です。手術後は状態に合わせたリハビリを行い、復帰に向けてサポートしております。

外科

外科では、「鼠径ヘルニア手術」を最も多く行っております。２番目に肺がんに対する「胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術」、３番目に乳がんに対する「乳腺悪性腫瘍手術（乳房部分切除術）」、４番目に虫垂炎に対する「腹腔鏡下虫垂切除術」、５番目に大腸がんに対する「結腸切除術」等、幅広い疾患に対応しております。

消化器内科

消化器内科では、内視鏡治療を多く行っております。１番目に胆管狭窄や結石、癌による閉塞性黄疸に対し内視鏡下に胆管内にステントを留置する「内視鏡的胆道ステント留置術」が最も多く、２番目に早期胃がんに対する「内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術」、３番目・５番目に総胆管結石などに対し内視鏡下に十二指腸乳頭を切開し、総胆管結石の摘出を行う「内視鏡的乳頭切開術」、４番目に消化管出血に対し電気メスや止血クリップなどにより止血を行う「内視鏡的消化管止血術」を行っております。

循環器内科

循環器内科では、急性心筋梗塞や狭心症に対し狭くなった冠動脈内に網目状の小さな金属製の筒（冠動脈ステント）を置く「経皮的冠動脈ステント留置術」や、狭くなった冠動脈を医療用の風船で血管の内側から拡げる「経皮的冠動脈形成術」を多く行っております。（急性心筋梗塞11件、不安定狭心症15件、その他60件）　他に、不整脈に対して行う「ペースメーカー移植術」やペースメーカーの「電池交換術」も多く行っております。

耳鼻咽喉科

耳鼻咽喉科では、副鼻腔手術が最も多くなっています。内視鏡を用いての手術となり、切除する副鼻腔の病変の拡がりによって4つの型の術式に分かれています。当院では3型と4型が上位を占めております。次いで口蓋扁桃手術が多く、扁桃の肥大で睡眠時無呼吸を生じたり感染を繰り返す扁桃を摘出する手術です。鼻腔粘膜焼灼術は、鼻出血に対し圧迫止血では難しい場合に、電気凝固装置やレーザー装置などを用いて止血するものです。甲状腺切除（摘出）術は、嚢胞または良性腫瘍に対して行なわれる手術となります。その他にも、症例は多くありませんが幅広い疾患に対応した手術を行っております。

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泌尿器科

泌尿器科で最も多く実施しているのは、膀胱癌に対する経尿道的内視鏡手術です。これは尿道より膀胱まで内視鏡を挿入して内視鏡先端に装着した電気メスで膀胱内に発生した癌を切除するものです。次いで、腎結石・尿管結石に対する経尿道的内視鏡手術です。尿道を通して非常に細い内視鏡を尿管内あるいは腎臓内にまで挿入し、結石をレーザーで破砕します。経尿道的尿管ステント留置術の症例数も多く、尿管内に細いチューブを通す手術となり、尿管が狭くなったり、尿管に結石がはまり込んだ際に行われます。尿管に結石が嵌頓し、且つ尿路感染を伴った場合などは緊急で行われるケースが増加しています。その他、膀胱内凝血除去術や前立腺悪性腫瘍手術が続き、様々な手術を施行しております。

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産婦人科

産婦人科では、子宮頚部異形成に対する「子宮頸部切除術（円錐切除術）」が最も多くなっております。２番目に子宮筋腫や子宮体がんなどに対する「子宮全摘術」、３番目に子宮体がんの診断目的に子宮体部の内側にある子宮内膜から組織を採取し、顕微鏡で調べるための「子宮内膜掻爬術」となっております。産科では自然流産に対する「流産手術」も行っており、幅広い疾患に対応しております。

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形成外科

形成外科では、動脈と静脈をつなぎ合わせ、静脈に動脈の流れを作ることで透析に必要な血液量を静脈から採取できるようにするための「内シャント造設術」が最も多くなっております。次いで手根管症候群に対し、正中神経の圧迫を開放するための「手根管開放手術」を多く行っております。他に皮膚腫瘍に対する「皮膚悪性腫瘍切除術」や「皮膚，皮下腫瘍摘出術」など幅広い手術を行っております。局所麻酔や伝達麻酔を用いた手術ではクリニカルパスを作成しているものもあり、短期の入院で治療が可能です。

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脳神経外科

脳神経外科では、慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術が最も多く行われております。この手術は慢性硬膜下血腫に対する治療法で、局所麻酔下で小穿頭を設け、血腫の除去や洗浄を行います。次に多いのが脳動脈瘤に対する治療法の脳動脈瘤頸部クリッピングになります。その他、脳血栓回収術、脳内血腫除去術等にも対応しております。

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【定義】

治療を行うにあたり、臨床上ゼロになりえないものの、少しでも改善すべきものとして挙げられる感染症および合併症の発生率を集計しています。

【解説】

播種性血管内凝固症候群・敗血症は、様々な要因で免疫力が低下し、全身状態の悪化により発症します。処置・手術等の合併症の症例では、透析シャント狭窄・人工関節脱臼・内視鏡治療後の出血などがあり、いずれの場合も迅速な検査、治療で十分なフォロー体制をとり対応しております。

※患者数が10未満の症例は「‐」と表示しています。