病院情報の公表

令和2年度 山形県立新庄病院 病院指標

医療法における病院等の広告規制について（厚生労働省）

1. 年齢階級別退院患者数
2. 診断群分類別患者数等（診療科別患者数上位５位まで）
3. 初発の５大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
5. 脳梗塞の患者数等
6. 診療科別主要手術別患者数等（診療科別患者数上位５位まで）
7. その他（ＤＩＣ、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率）

山形県には、村山、最上、置賜、庄内の二次保健医療圏がありますが、当院は最上地区唯一の中核病院です。また、入院時から入退院支援が関わり、在宅復帰に向けて、介護支援専門員(ケアマネージャー)、訪問看護ステーションと連携を図り、地域完結を目指しております。本調査の対象となる令和元年度の退院患者数は４，９５４名です。年齢区分別にみると７０歳代の患者さんが一番多くの割合を占め、次いで８０歳代、６０歳代となります。平均年齢は６４．９歳であり、全体の７４．１％を６０歳以上の患者さんで占めております。また当院は、最上地区で唯一分娩を行える医療機関であり、小児科入院にも対応しているため幅広い年齢の患者さんに来院いただいております。

消化器内科

消化器内科では、胆管炎が最多となっております。主に抗生剤による治療が行われていますが、結石が原因の場合は内視鏡的治療を行うこともあります。次いで胃癌、胆のう癌が多くなっております。また状態が落ち着いた患者様には、地域包括ケア病棟へ転棟していただき、在宅復帰に向けてリハビリを行っていくなど、いち早く復帰していただけるよう診療を行っております。

循環器内科

環器内科では下記の治療や検査を受ける患者様が多く入院しております。
　・狭心症に対しての心臓カテーテル検査や心臓の動脈に対するステント留置などの血管内治療
　・心不全に対しての点滴薬を使った治療や心臓の血流検査
　・不整脈に対してのペースメーカーの植込みや交換

　当院で急性期の治療を行った後、近隣の医療機関に転院し、在宅復帰に向けたリハビリを行うなど、住み慣れた最上地域でいち早く元の生活に戻っていただけるように近隣の医療機関との連携を図っております。上位5位の疾患全てにクリニカルパスが作成されており、標準的な医療を行っております。

外科

外科は、鼠径ヘルニアが最も多く、次いで肺の悪性腫瘍、虫垂炎と続きます。肺の悪性腫瘍は胸腔鏡を用いて手術を行うことが多く、虫垂炎は軽度であれば抗生剤を投与し、保存的治療にて経過を診ます。また、胆のう結石は手術目的にて入院することが多い症例です。腸閉塞は絶食の上、専用のチューブを挿入し治療します。いずれの疾患についても状態に応じ、緊急手術にも対応しております。

整形外科

耳鼻咽喉科は、最上地区唯一の入院治療を行える医療機関であり、前庭機能障害（めまい、メニエール病）が最も多く、次いで突発性難聴に対しての急性期治療を多く行っております。次に睡眠時無呼吸症候群の検査入院、顔面神経障害（顔面神経麻痺など）です。慢性副鼻腔炎には、手術を行う方も手術を行わない方も含まれております。上位５疾患全てにクリニカルパスを用い、標準的な治療が行われています。

呼吸器内科

呼吸器内科では、誤嚥性肺炎が最も多く、次いで肺炎、間質性肺炎と様々な肺炎に対応しております。主に抗菌剤投与による治療を行っておりますが、高齢の方も多く、平均在院日数は全国と比較し長くなる傾向にあります。次いで肺の悪性腫瘍、睡眠時無呼吸症候群の検査入院の順となっております。当院では、急性期病棟にて治療後、病状の落ち着いた患者様は、リハビリを中心として在宅復帰に向けた診療に積極的に取り組んでいる「地域包括ケア病棟」へ転棟して入院治療を行っていただくこともできます。

泌尿器科

泌尿器科では急性腎盂腎炎や尿路感染症の疾患が一番多く、基本的に抗菌薬での治療となります。閉塞性の場合、ステントを留置するケースもあります。次いで、膀胱腫瘍に対する内視鏡手術、腎結石・尿管結石に対する結石除去手術を受ける患者さんが多く、上位を占めております。地域包括ケア病棟では、前立腺の悪性腫瘍に対して前立腺針生検法を受ける患者さんも多く入院されています。これは前立腺癌の診断を確定させる目的もあります。また、クリニカルパスも多く運用されており、診療の標準化が図られ入院期間の短縮にも寄与しています。

産婦人科

産婦人科では子宮がんや卵巣がんに対する抗がん剤治療や子宮筋腫に対する子宮摘出、子宮頚部異形成に対する円錐切除などの手術といった幅広い治療を行っております。産科では悪阻等の妊娠初期から分娩、産後ケアに対する診療を行っております。出産後の新生児は当院の小児科へ紹介するなど産後も各診療科で連携し診療を行っております。上位5位の疾患全てにクリニカルパスが作成されており、標準的な医療を行っております。

小児科

当院は最上地区で唯一分娩を行える医療機関のため、小児科で最も多い症例は低出生体重、新生児低血糖、妊娠糖尿病母体児などとなっております。出生後の新生児への迅速な処置も可能であり、新生児仮死蘇生術も行っております。次いでウイルス性腸炎、喘息と続き、多くの疾患に対応しております。

脳神経外科

脳神経外科では脳出血、脳梗塞、外傷性慢性硬膜下血腫や誤嚥性肺炎に対する診療を多く行っております。脳梗塞に対しては超急性期治療として、tPA製剤という血栓を溶かす薬剤の投与や、経皮的に行う血管内治療の脳血栓回収術等を行っております。外傷性硬膜下血腫に対しては、慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術にて血腫の除去や洗浄を行います。当院は、山形県最上地区唯一の中核病院として、幅広い疾患を脳神経外科で診療しております。

※患者数が10未満の症例は「‐」と表示しています。

血液内科

血液内科では、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫などの精査・加療を行っております。造血器腫瘍の治療としては主に化学療法を行っており、状態に応じて放射線治療も当院で可能です。他には誤嚥性肺炎の治療など内科として幅広い疾患に対応しております。
※患者数が10未満の症例は「‐」と表示しています。

形成外科

形成外科では、手根管症候群の手術目的入院が最も多くなっております。手術は１泊２日にて行うことが可能です。次いで透析を行うための内シャント設置目的の入院が多くなっております。内シャント設置は、多くの場合、当院内科からの依頼により実施しており、各診療科連携し診療を行っております。他に皮膚の悪性腫瘍切除、手関節の骨折・脱臼手術など幅広く診療を行っております。
※患者数が10未満の症例は「‐」と表示しています。

※ 1：UICC TNM分類，2：癌取扱い規約

5大がんとは、発症症例数が多い、胃がん、大腸がん、肺がん、肝臓がん、乳がんを指します。UICC（国際対がん連合）が定めた腫瘍の病期分類があり、T（原発腫瘍の拡がり）、N（所属リンパ節転移の有無と拡がり）、M（遠隔転移の有無）を評価してがんの進行度と拡がりの程度を、表せるようにつくられたのがStage分類です。患者数は初発では肺癌が最も多く、次いで大腸癌、胃癌となっております。再発では大腸癌が最も多く、次いで胃癌、肺癌の順となり、いずれも上位3位を占めております。
　当院は、がん診療連携拠点病院に指定されており、各学会の定めるガイドラインにより、専門医が標準的ながん治療 (手術、化学療法、放射線療法）、緩和医療、及び各種治療法を合わせた集学的治療を行っております。

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【定義】

・市中肺炎とは、普段の生活を送っている中で罹患した肺炎を指します。
・20歳以上の成人を集計対象としています。
・重症度は「市中肺炎ガイドライン」により分類しており、下記の5つの項目に該当する点数で分類しております。
※5点満点で1項目該当すれば1点、2項目該当すれば2点で集計しています。

1. 男性70歳以上、女性75歳以上
2. BUN（血液検査項目　尿素窒素）が21mg/dl以上または脱水あり
3. 酸素飽和度が90%以下
4. 意識障害（肺炎に由来するもの）あり
5. 血圧（収縮期）が90mmHg以下

項目表中に該当点数に応じて重症度が分類されています。
軽度：0点
中等症：1～2点
重症：3点　ただし意識障害(ショック)であれば1点でも「重症」の分類とする。
超重症：4～5点

【解説】

肺炎は罹患率が高く、悪性新生物（癌）、心疾患とともに国民の死亡原因上位に位置する疾患です。高齢者では症状がはっきりしない場合もあり、早期の適正な抗菌薬が必要となります。重症度別では中等症が最も多く、高齢になるにつれて重症になる傾向にあります。また、重症化するほど平均在院日数も比例して長くなります。
※患者数が10未満の症例は「‐」と表示しています。

脳血管疾患は死亡原因の上位に位置する疾患であり、脳梗塞の場合早期治療を行うことが効果的とされております。当院では脳梗塞の約9割以上の患者さんが発症してから3日以内に治療を開始しております。迅速に治療（rt-PAを含む）を開始することで、早期にリハビリ等の治療を行うことができ、その後の患者さんの日常生活動作向上へ大きくつながります。

整形外科

整形外科で最も多い手術は、骨折観血的手術になります。大腿・前腕・肘の順に手術が多く行われています。骨折観血的手術は受傷部位を手術的に開き、直視下に整復し、材料（ワイヤー、スクリュー、プレート等）を用いて内固定を行う手術です。人工関節置換術（膝）等は関節の動きが悪く、運動痛が強い、不安定で支持性が低い症状がある場合に、大腿骨と脛骨の両方を入れ替える手術です。手術後は状態に合わせたリハビリを行い、復帰に向けてサポートしております。

外科

外科で一番多く実施しているのは鼠径ヘルニア手術です。上位5位の中に結腸と肺の悪性腫瘍手術が入っています。腹腔鏡下胆嚢摘出術は胆嚢結石症や胆嚢炎に対する手術になります。腸閉塞症手術は、原因となっている腸管を解除し、壊死している腸管を切除するものです。上位疾患のほとんどはクリニカルパスが作成されており、標準的な治療を行っております。

消化器内科

消化器内科では、内視鏡的胆道ステント留置術が最も多くなっております。胆管癌、膵癌に対する一時的な減黄処置として行われることがあります。次いで胃がん、大腸がんに対する内視鏡的切除術を多く行っております。大腸がんの治療については4泊5日にて行うことが可能です。他には、総胆管結石に対する内視鏡的乳頭切開術（乳頭括約筋切開のみのもの）、消化管出血に対する止血術などが行われています。

循環器内科

循環器内科では急性心筋梗塞や狭心症に対して行う、経皮的冠動脈ステント留置術や経皮的冠動脈形成術が多く行われております。経皮的冠動脈ステント留置術は心臓の血管内側へステントという拡張可能な小さいメッシュ状の金属の筒を留置する手術です。経皮的冠動脈形成術は心臓の血管 の狭くなった箇所を風船 (バルーン) で広げる手術です。また、不整脈に対して行うペースメーカーの植込みや足の血管内側へステントという拡張可能な小さいメッシュ状の金属の筒を留置したり、風船（バルーン）で広げたりする、四肢の血管拡張術・血栓除去術が多く行われております。透析を始める方や透析に使用するシャントに対して治療が必要な方は、循環器内科で入院を行っております。循環器内科入院中に必要に応じて、形成外科の医師が透析に必要な内シャントの造設を行うなど、他の診療科と連携し診療を行っております。

泌尿器科

泌尿器科で最も多く実施しているのは膀胱癌に対する経尿道的内視鏡手術です。これは尿道より膀胱まで内視鏡を挿入して内視鏡先端に装着した電気メスで膀胱内に発生した癌を切除するものです。次に多いのは腎結石・尿管結石に対する経尿道的内視鏡手術です。尿道を通して非常に細い内視鏡を尿管内あるいは腎臓内にまで挿入し、結石をレーザーで破砕します。3番目に多いのは経尿道的尿管ステント留置術です。これは尿管内に細いチューブを通す手術で、尿管が狭くなったり、尿管に結石がはまり込んだ際に行われます。尿管に結石が嵌頓し、且つ尿路感染を伴った場合などは緊急で行われるケースが増加しています。
※患者数が10未満の症例は「‐」と表示しています。

耳鼻咽喉科

耳鼻咽喉科では、幅広い耳鼻科疾患に対応した手術に対応しており、令和２年度は軽微なものも含めると約60種の手術が行われました。そのうち、肥大や感染を起こした扁桃を摘出する「口蓋扁桃手術（摘出術）」の件数が最も多く、次が甲状腺の良性の腫瘍やのう胞に対して行う「甲状腺部分切除術、甲状腺腫摘出術」でした。　「扁桃周囲膿瘍切開術」は、扁桃の感染・炎症からおきる膿瘍を切開し取り除く手術です。上位４位・５位の「内視鏡下鼻・副鼻腔手術」は、どちらも慢性副鼻腔炎に対して内視鏡を用いて行う手術です。慢性副鼻腔炎では、切除する副鼻腔の病変の拡がりによって４つの型の術式に分かれており、当院では、複数の副鼻腔（３型）と全ての副鼻腔（４型）を切除する手術が多く行われております。

産婦人科

産婦人科では子宮筋腫等に対する子宮全摘術が最も多くなっております。2番目は子宮頸部切除術、3番目は流産に対する手術、4番目5番目は子宮附属器腫瘍摘出術となっております。子宮附属器腫瘍摘出術は開腹による手術以外に、患者様の状態によって傷跡が小さい腹腔鏡による手術も行っております。
上位5位の手術全てにクリニカルパスが作成されており、標準的な医療を行っております。

形成外科

形成外科では、手根管症候群に対する手根管開放手術が最も多く行われています。次いで透析を行うための内シャント設置術や皮膚・皮下腫瘍（時に悪性も含む）に対しての手術が多く行われております。手根管開放手術、皮膚の悪性腫瘍に対する切除手術や指の骨折・脱臼に対する手術など局所麻酔や伝達麻酔を用いた手術については短期入院クリニカルパスも作成されております。
※患者数が10未満の症例は「‐」と表示しています。

脳神経外科

脳神経外科では慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術が最も多く行われております。この手術は慢性硬膜下血腫に対する治療法で、局所麻酔下で小穿頭を設け、血腫の除去や洗浄を行います。次に多いのが経皮的脳血栓回収術です。この手術は脳梗塞に対する治療法で、経皮的に血管へ特殊な機材を挿入し、血栓を体外に回収する手術になります。その他、脳動脈瘤に対する治療法の脳動脈瘤頸部クリッピングや水頭症手術等、幅広い疾患に対し手術を行っております。
※患者数が10未満の症例は「‐」と表示しています。

脳神経外科

脳神経外科では慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術が最も多く行っています。慢性硬膜下血腫に対する治療法で、局所麻酔下に小穿頭を設け血腫の除去・洗浄を行います。次に多いのが脳動脈瘤頸部クリッピング術です。脳動脈瘤に対する治療法で、全身麻酔下に脳動脈瘤をクリップではさみ破裂を防ぎます。幅広い疾患に対し手術を行っております。

※患者数が10未満症例は「‐」表示を行っております。

【定義】

医療の質改善に資すために、臨床ゼロになりえないもの、少しでも改善すべきものとして定義されており、感染症及び合併症の発生率を集計しています。

【解説】

播種性血管内凝固症候群・敗血症は、入院時の状態と異なることが多く、様々な要因で免疫力が低下し、全身状態の悪化により発症します。処置・手術等の合併症では、9割以上が入院契機と同一で0.48%の発生率であり、いずれの場合も当院では迅速な検査、治療で十分なフォロー体制をとり対応しております。
※患者数が10未満の症例は「‐」と表示しています。