
- 名称
- MRIとは、Magnetic Resonance Imagingの略称で、
磁気共鳴画像という意味です。
- 歴史
- 1945年BlochとPurcellによりNMR(Nuclear Magnetic Resonance 核磁気共鳴)現象が発見されました。最初はスペクトロスコピーとして化学分析用の道具として用いられ、1971年にはDamadianが腫瘍の良性、悪性の鑑別ができる可能性があることを示唆しました。1973年にはLauterburにより傾斜磁場を用いて二次元画像を得るMRIの基礎が確立し、1970年代後半にDamadian,Hinshow,Mansfieldが人体の映像化に成功しました。MRIの本格的な応用は1977年頃にイギリスで行われ、現在まで30年余の変遷により現在に至ります。
原理
体内には無数の水素原子核(プロトン=陽子)があり、そのプロトンは地球と同様に自転しています。そのためN極とS極が発生します(磁石と同じです)。通常、プロトンの軸の方向はバラバラの状態にあるが、強い静磁場の中におくと、一斉に縦方向に整列します。一定の周波数の電波を照射すると、プロトンが横向けに倒れます(=共鳴現象)。外部の電波を切ると、プロトンは電波を出しながら縦方向に戻ろうとします(=緩和現象)。緩和の速度は、組織により、また病変により異なります。この電波を分析すると、緩和の速度を知ることができ、これを画像の白黒に反映させて診断します
特徴
- X線を使用しないため、放射線被曝がない。
- コンピュータを用いるため、後処理がしやすい。
- 造影剤を用いないで血管画像が撮影できる(MRアンジオグラフィー)。
- 骨によるアーティファクトが少ないため、トルコ鞍や脳底の病変の描出に優れている。
- 軟骨はX線では写らないことが多いため、腰椎椎間板ヘルニアのような軟骨疾病の発見には必須です。
- 脳梗塞超急性期ではCTよりも診断価値があります。
- CTよりも検査時間がかかります。
- 装置の発生する騒音が大きいです。


- 心臓ペースメーカーや脳動脈瘤クリップなどの体内金属があると、検査を受けられない場合があります。
- 強磁場が人体に与える影響については、未知の部分があるため、妊娠初期または妊娠の可能性のある場合は、原則行っておりません。
- ヘアピン、イアリング、指輪、入れ歯、眼鏡、磁気治療器具などの装身具・金属製品は検査前に取り外していただきます。
- 磁気式キャッシュカードやプリペイドカードなどの磁気記録メディアは、間違って持ち込むと使用不可能になります。
- アイシャドー・マスカラ・アイライン・カラーコンタクトレンズ・入れ墨などは、成分により発熱する可能性があります。
- 腹部の検査の方は、検査前の飲食が出来ません。
- 患者様の同意を得た上で、必要により検査途中で造影剤の静脈注射を行うことがあります。